先日のオオメ堤防。
早朝6:00am頃、先端のテトラの上でなんとか1尾釣った後、100mほど離れた別のテトラに移動。ここでやや大きめなやつをかけたけれどばらしてしまった・・・・
というのは昨日書いたとおり。
その後、「休ませたからひょとしてもう1尾くらいは出てくれるかも」と、テトラの山を登りかえし、先端にもどったのは7:30頃。
投げようとしていたところに近づいてきた地元の漁師。
「それはフライフィッシングやな、何を釣ってるん?」
「カマスを・・・・・・・・」
「どうやったな」
「だめですねえ~あんま居ないですがよ」
「もっと朝早くこんと!薄暗い時間に入れ食いだったんやから!」
「・・・・・・・。」
「マズメの時間よ、朝マズメ!」
んんん??それはおかしい。薄暗いうちからこの堤防で何かしら釣りをしてたのは私以外にはいない。しかし、漁師の言い方は随分と勢いがあり、ガセネタやホラを吹いてやろうなんて気配は全く感じられない。「本気度」がびんびん伝わってくる・・・・。
「いつのハナシですか??」
「今朝よケサ!」
「・・・どこのことですか?」
「ここよココ!朝は入れ食いやったんやから!」
彼は本気だから、「こんな時間に来たって遅い!」と、私に言いたいようだ。この時間に初めてボクがここにきたと思っているらしい。自分としては、「ろくろく釣ってない上に説教までされちゃかなわん!」てな感覚だ。
だから、ちょっとムキになって言ってしまった。
「それはおかしい。暗いうちから投げてたけど、釣ったのは1尾だけですよ。ボク以外に釣してる人はいなかったし。」
「え?みんな(港の中を指差しながら)が入れ食いだったって言ってたぞ!」
「いいえ、マズメ時間はボクしかいなかったですし、僕は1尾しか釣ってないですよ」
「・・・・・・・・。」
・・・・・い、いかん!いきなり空気が悪くなった。
彼が本気だからこその気まずさ。無理に真実を強調する必要はなかったか!!
「いやあ、今年は数が少ないですねえ~~~」「何年か前はすごかったけど・・・」などなど、いろいろ話をつないでハナシを収める。「なあんだ。」と思ってもらえればそれで収束。
「ふう。」
これはいったいどういうことなのか・・・・・・・?
このあたりは磯釣師の間では有名なエリアであり、この港では瀬渡船がいくつか営業している。朝の早い時間てのは、瀬に出る人、夜釣りから帰ってくる人を乗せた瀬渡船が港の入り口である堤防先端前を行き来する。もちろん、堤防先端で「妙な釣り」をしている私は港を出入りする彼ら(船頭さん、釣客)の目に入る。私が「今朝唯一の」カマスを釣り上げたときも、瀬渡船はその前を通過しており、私の姿は彼らの目に映ったようだ。
「カマス」ってのは一般的には「数が釣れてあたりまえのもの」という認識があるので、実際には1尾しか釣っていないにもかかわらず「堤防先端で釣ってる人が入れ食いしていた」ということになったのかもしれない。また、船頭さんは、3、4年前に我々が「クーラーいっぱい」釣ってたのを見ている為、「ああ、今年も釣れてるんだ!」と思ったのかもしれない。
理由は人それぞれにあるだろうけれど、私の釣った1尾が、彼らのおそらくは「好意的な想像」をふくらませてしまったようにある。「ああ、フライの人はカマスたくさん釣ってたよなあ~~~」ってな具合に。
もしあそこで私が否定しなければ、「カマス入れ食い情報」が広がっていっただろうことは想像に難くない。釣ってる本人も、話している人たちも、悪意なんてカケラも持っていないのに、釣ってないくせに「釣れてる情報」の情報源になってしまうところだった。
「見るならしっかり見てくれよ!」とも言いたいところだが、まあ、釣師の情報なんてのはそんなもんかも。「入れ食い!」という言葉、注意しなきゃいかんとは思うのだけど、実はとってもおもしろいのも事実。「なあんだ。」と、笑える余裕をいつも持っていたいもの。